エスカルゴ


私の名前は「エスカルゴ」。 でも、カタツムリでは、ありません!
by eekaze
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必死の生還

9月12日、
1年ぶりにシーホッパーで出場するヨットレースの日だ。
朝6時起床、睡眠も充分!
朝食もしっかり取り、用便も済ませ、万全の体制でレース海面に向かう。

レーススタートは、10時30分。
阿多田島から五日市沖までのコースだ。

スタート1時間前、

ほとんど無風だったが、少しずつ風が湧いてくる。
南よりの風だ!
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天気もいいし、この風は、きっと8~10ノットの安定した風速なるだろう。
そうなれば、右側の沖海面が断然有利になる。
その理由
1.新しい風は、右後ろから吹いてくる。
2.潮流は、「連潮」だ。右の方が流れが速い。
3.大型艇団の風下(左海面)に位置すると、風を遮られて大型艇団が通過するまで止まってしまう。

何が何でも、1番右からスタートして船団の右側を走る事に決めた。


本部船のピッタリ近くでセールをシバーさせたり、
ブームを押してバックしたりしてヨットを止めスタートを待つ。

3分前だ。

離れていた大型艇が集まってくる。
「◎成丸」に「スタートには、まだ早いよ!」と声をかけたが
何食わぬ顔でラインへ入って行き、左方面へ消えて行った。

1分前になった

今度は、「○○マジック」がやって来た。
俺と本部船の間へ入ろうとする。
何て野郎だ!
「しもど~」大声で叫ぶ!
しかしまた
何食わぬ顔で風上を通過してラインへ入って行き左方面へ消えて行った。

大型艇から完全に無視られている。

10秒前
自分の回りが、ぽっかり穴の空いたようになる。
「よし!ラッキー!このままスタートだ!」
リコールしては、いけないので少しベアしてスタート!
「よ~し!最高のスタートだ!」
予定通り1番右からジャストスタートできた!
「突っ走るど~」

でも、大型艇は、早いのだった。

2列目からスタートした「フレ○ズ」が、ものすごいスピードで風下を通過して行く。
「ヒャ~何じゃこりゃ!」

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今度は、
そのまた遅れた「○○ヒロシマ」が右風上後方からやって来る。
「ディンギーがおるど~」とか頭上のデッキから聞こえてくる。
かち上げてやろうか、と思うが接触して大破するのは、こちらだし・・・。
すでに風を奪われコントロール不能になっている。
頭を下げ、ネズミ色の巨大な艦艇が通り過ぎるのを待つ。
「クワバラ・桑原」

その後は、どんどん右方向へコースを取る。
回りに邪魔をするヨットは、いなくなった。
全艇、自分の左に見える。
同じクラスの小型艇を探す。
「ええど・ええど!皆様、はるか後方にいらっしゃる、そのまま付いておいで・・!」

小黒神島を通過するころには、
風速も上がり、時々ハルがブーンと唸りプレーニングを始めた。
大型艇団の後方グループは、まだ後ろを走っている。
その時点で12~15ノットまで風が上がっていた事など
気づくはずもなかった。
風向もアビームからランニングまで変わって来た。
不規則なローリングを繰り返す。
時々、小さいしわの寄った波が通過して行く。
(ブローだ!)
その時、ヨットは、一瞬身震いをしたかと思うと
あらぬ方向に勝手に突っ走って行く。
完全に、ご主人様のコントロール下から離れている。
--------------------
詳細は、覚えていない・・・。
気が付くと自分は、海に浮いてる。
ヨットは、横倒し・・・。
そうだ! 沈したんだ。
急いでヨットを起こそう!
ふと見ると、手ぬぐいが流れている。
そいつを回収して、センターボードへ登ろうとするが
手ぬぐいを手に持っていたのでは・・・。
手ぬぐいを口にくわえる。
「しょっぱ~い」
我慢できない・・・。
吐き出すしかない。

何やってんだ!
早く起こさなくては・・・!。

手ぬぐいをあきらめ、
ヨットを起こし、セーリングを始めた時には、
後続艇に抜かれ2番になってしまった。

でもまだ先は長い。充分挽回出来る距離だ!
「がんばる~カンガルー?」
念力ビームを発射する。
「お前も沈するんだ!」
その時、後方に迫っていた3番手のオレンジが「沈」した。
念力ビームは、後方へ発射されたようだ。

少しずつだが、確実に追いついている。
が、風速もどんどん上がってくる。
きっと、ブローで20ノットはあったに違いない。
ここで、再度「沈」するとこのレースは、絶望的になる。
でも、この風速と波を乗り切る技量は、
俺には、無い!絶対無い!
乗ってるだけで精一杯なのだ。

どういう訳か、
江ノ島あたりで、先行艇と並ぶ。

「沈」を恐れるあまり、積極的なセーリングが出来ない。
また、先行される。
念力を発しながら後を追うが・・・。

力つきたのは、自分であった。
変な三角波でローリングした時、アンヒール沈だ!
ヨットを起こしてセーリングを始めたとたん
また「沈」・・。
マストに水が入ってバランスが悪くなってる。
また、風も上がってきた。
五日市に近くなって波も悪い。三角波だらけだし・・・。
これ以上無理をして怪我をしてはいけない。
完沈になった船底の上で一休みして、回りを見る。
3番手は、後方だが見えない。
先行艇は、そのまま突っ走っている。
落ち着いて、ヨットを起こし、ロープ類を整理する。
その時、飲み水のペットボトルが流れて行った。
マストから水が出るのを待ってセーリングを始める。

いくら、落ち着いても風と波が収まる訳ではない。
体力の限界は、随分前に超えている。
ヨットの中央に乗っていると、バウが波に突っ込みコックピットまで水没する。
俗に言う「潜水艦・状態」になる。
後ろに乗る。
尻を付けて座るとローリングに対応出来ないので
中腰のままバランスをとり続ける。
太ももが痛い!
「あぁ~ 帰りたいよ~」
「もう悪い事は、しませんから~」
「許して~」

おっおっおっ!
はるか前を行く先行艇が「沈」した。

しかし
吹きすさぶ風と波に、もて遊ばれた体と心は、
先行艇を抜き去る事より、生還する事しか考えられなかった。

フィニッシュ後、マリーナまでの間
岸壁近くは、もっと悪い波の状態になっていた。
ジャイブすれば、確実に沈する。
タック回りで舷を変え、へとへとになってマリーナへ着いた。
しばらく、立ち上がる事が出来なかった。




--------------------------
「失った物」
緊急用に防水の袋に入れて持っていた携帯電話。
液晶画面が・・・。
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「得た物」
全身・筋肉痛 
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by eekaze | 2010-09-14 10:57 | ヨット
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